経営者保証に関するガイドライン
〜保証債務の整理に関する有効性の検討
中小企業法務研究会 事業再生部会 弁護士 福田 大輔 (2014.02)
1 平成25年12月5日、全国銀行協会及び日本商工会議所を共同事務局とする
「経営者保証のガイドライン研究会」により、「経営者保証のガイドライン」及び同「Q&A」が発表されました。
主な内容
- 経営者保証に依存しない融資の促進
- 既存の保証契約の適切な見直し
- 保証債務の整理
ア 保証契約の見直し イ 事業承継時の対応
2 ガイドラインでは、各項目について、相当に踏み込んだ提言がなされています。
利用される場面は、多方面で考えられますが、今回は、B保証協会への保証債務の整理のうち、主債務者が破産した場合の有効性について、検討します。
ア 従来、主債務者である法人が破産した場合に、経営者である連帯保証人が取りうる方法としては、次のいずれかによることがほとんどでした。
@ 主債務者とともに破産
A 保証協会に対し、少額弁済を継続する(保証協会が代位弁済した債務のみの場合・元金に充当されるものの完済は困難・銀行プロパー債務の場合は方法が異なります)。
イ 今回のガイドラインでは、対象債権者に信用保証協会が含まれ(「経営者保証に関するガイドライン」Q&A・Q1-1)、保証債務の弁済計画は原則5年以内とされ、保証債務の減免等の権利変更が定めることができ、保証債務を減免する場合、保証人に課税関係は生じない(Q&A7-32)とされています。
ウ これまで、保証協会における求償権の放棄は、極めて厳しい全国基準が定められており、実質的に元金の減免はなされないことがほとんどです。 ガイドラインで対象債権者に信用保証協会が含められていることから、ガイドラインに定める手続きにより、減免がなされることになれば、5年以内の支払を継続することで債務が免除されるという有効な手段が増えることになります。 もっとも、ガイドラインに強制力はなく、債権者全員の同意が必要とされていることから、信用保証協会の運用次第であり、その運用は現時点では明らかになっていません。全国基準からすれば、直ちにガイドラインによる整理に応じることにはならない可能性も高いですが、ガイドラインが適用される平成26年2月以降、その運用に注視する必要があります。